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みんなへ - 大阪府立桜和高等学校

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 今年もいよいよ暮れようとしています。統合があり、移転があり、移管がありの1年間。随分と環境も変わって戸惑うこともあったと思います。1年生は違う3校の先輩に囲まれて、どんな感じで高校生として過ごしてくれたのか、一度ゆっくりと聞きたいと思っています。

 社会生活が新型コロナ感染症に支配され、多くの場面で規制がかかり、制限された環境の中でみんなは何を感じ、どんな行動をしましたか。学校が休校になった日、友達と遊べなくなった日、買い物にも行けずにただ時間を過ごす毎日の中で、家族と向き合う時間が増えた人、友達とたわいのない会話の有難さをしみじみ感じた人、自身を支えてくれた人やモノを改めて感じた人、何より自分自身を振り返る時間を持った人、そして少しずつ規制が緩和され、自由に行動できることが増えてきた時に、生きていることの実感を得た人など様々な感性が養われたのではないでしょうか。

 人が生きていくうえで、感性ほど大事なものはないと思います。一つひとつの出来事に対して、どう感じ、どう思うのか。今何をしなければならないのかを感じることができない人、人の気持ちを感じることができない人、そんな人にみんなは絶対になって欲しくないと強く思います。感染症の拡大で自身の生き方を問われた期間でもあったと思いますが、他人との接触が少なかった時でも自分が出来る事、自分しかできないことをしっかりと感じ、実行したからこそ、今日のみんながあると思います。ある漫才師のコンビのネタに、『「吐く」という字がありますよね。弱音を吐いて生きていくと決していいことはないですよ。自分にとってマイナスなことを取り除いて生きていると、夢や希望が必ず「叶う」んです。』私もそう思います。しかし、自分にとって何がマイナスで、何がプラスなのかを感じる感性が必要で、それらの感性は意識しないと養われないものです。綺麗なものを見て感動し、良い小説や映画、音楽に出会って感激し、多くの人との出会いの中で新しい生き方に触れ、自分の生き方を見直すなど、みんなの中にある多くの可能性を見つけ出すために、これからも毎日、毎時間一生懸命生きてほしいと思っています。人間に決められた寿命があるならば、今日を無駄にすれば、その寿命に一日無駄に近づくことになってしまいます。無限の可能性を秘めたみんなでも時間は限られています。その限られた時間の中で精一杯の取り組みをし、精一杯、感性を磨いてください。感性が豊かな人ほど多くの出会いがあり、人間力を高める多種多様な要素や機会に恵まれるのだと思います。

 1年の終わりを迎えるこの時期に、これまで過ごしてきた時間を振り返って"頑張る場所"のあることを感じながら、新しい年に向け、目標をもって生きてほしいと思います。みんなにとって新しい年がすばらしい年になりますように。

                                   校長  川口 伊佐夫