校長日記其の三百七十五~恥の効能~
中間考査が終わり、本日から通常授業が再開(3年生は記述模試を実施)した。各教室では、テストが順次返却されている。ある生徒の点数を見て、「結構いい点数を取ったな」と声をかけると、「でも平均が高いんですよ」と残念そう。喜びもつかの間だったか。
生徒たちの返却を待つ不安な顔。解答の説明を聞いている真剣な顔。結果に悲喜こもごもだが、実は自分の点数を人に言えるかどうかが、一皮むけるか否か、伸びるか伸びないかの一つの関門だという。教員側としては、個人情報の一つにあたるので、隣人には見えぬよう配慮して返却するが、実は生徒本人には、自分の点数は隠さないでほしい。今の自分の到達点を公にして、次はこれ以上の点数を取るのだと自分と周りに約束する、言うなれば「背水の陣」を引く。
他に「背伸びをする」や「ハードルを上げる」とも言えるが、言い方はともかく、何もなしに頑張るほど難しいことはないので、自分を律するという意味でも、さらけ出すことが大事だ。逆に点数を隠すのは、守りに入っている証拠なので、心の中でいくら次は頑張ろうと思っても、その野心は自分の内にとどまるので、多くは挫折し、そしてなかったことにする。人それぞれだと言われればそれまでだが、教育専門家でもある大学教授も次のように述べている。
「自分の点数を隠すということは、今の自分を否定するということです」
とはいうものの、私のように、背伸びし過ぎて足がつり、ハードルを上げ過ぎて引っ掛かり、果ては「背水の陣」を引いたはずが「四面楚歌」になることもある。だが、それはそれで、実に楽しい。
恥は恥 今は今よと 受け止める