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校長日記其の三百七十七~話せばわかることもある~

 今朝、JR天王寺駅で、阪和線から環状線に乗り換えようと歩いていると、一人の年配男性が駅員さんと話している。かすかに聞こえた男性の声と身振り手振りによると、どうやら駅の人の流れ、いわゆる乗客の動線がややこしいので、その男性なりの考えを述べているようだ。「ここからこう行って、こっちからこう来るから...」と一生懸命自分の改善策を伝えているのだが、私の見た限り、その駅員さんは上の空。気にはなりつつも、そのまま環状線に向かったが、きっと男性の思いは届かぬだろうなと推測している。天王寺駅という比較的大きな駅では、乗客一人ひとりの意見を聞いてばかりもいられないだろう。

 その点、少しローカルな、私の自宅最寄りのU駅の駅員さんは一味違う。U駅の改札は2階にあるのだが、引っ越した当初、私が改札に向かう左側通行の西階段を上ると、逆に上から下りてくる人と結構ぶつかる。二週間ほどそういう状況が続いたので、駅員さんに、「西階段を上から下りる人は、どうしても駅の出口に近い右側(下から見ると左側)に寄ってしまうので、左側通行を守って下から上るとぶつかってしまう。見ると、下から上る人の多くも実は改札に近い右側に寄ってしまうので、思い切って右側通行に変えれば、どちらもスムーズに上り下りできると思うのですがどうでしょう?」と言い、「ただ、駅の反対側の東階段は逆の理屈で左側通行のままでいいと思います。ぜひ西階段の右側通行を検討してくれませんか。」と相談してみた。

 いわゆるクレーマーと思われる(いや、この時点ではすでにクレイマーか...)可能性もあり、一乗客の戯言を真剣に聞いてくれるはずもないと期待していなかったが、驚くことに、何と翌日には西階段だけが右側通行(シール表示)になっていたのである。なんと仕事の早いことか!すぐに駅員さんに感謝を述べた。すると、その駅員さん、「昨日一日、お客様の階段での様子を確認して、なるほどと思いました。おっしゃっていただかなくては気づきませんでした。」と。まさに謙虚な神対応であった。

 おかげで、その日以来、毎日ストレスなく階段を利用できている。『皆さま、左側通行にご協力ください』という変わらぬアナウンスを聞きながら...。

  思い付き 言ってみるのも 悪くない

 何事も声をあげるのには勇気がいるが、口に出すと何か変わるかもしれない。いい出会いが後押しになり、一歩前に進める。とりあえず話してみるのもいい、東高生!

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