校長日記其の三百九十八~『論コミ』をさらに深める~
時間があれば、候補者の政策演説を聞くように、と先週末の日記に書いたが、その政策演説が論理的であるか否かは特に重要であり、数値的根拠やその政策が現実的であるかどうか見極める必要がある。
そういう読解力や論理的思考力、表現力を身につけるために、東高校では、1年生の「総合的な探究の時間」を活用し、『論理コミュニケーション』の時間を設けている。略して『論コミ』には検定があり、能力が適切に見についているか確認できる。その本校生の結果分析と指導助言のため、本日、慶応義塾大学の梅嶋真樹特任准教授が本校を訪問された。
梅嶋教授によると、まず、国際的な視点から、日本の高校生が他国の高校生よりも、多数派に弱く、強い意見に左右されがちとの現状を述べたうえで、本校生について、「主張」とその「根拠」について書かれている点は評価すべきだが、十分な『事例』が挙げられているか、そして、その『事例』が事実であるか(盛られていないか)、そして、『構成』が十分であるかという3点について、まだまだ伸びしろがあり、今後、意識して伸ばしていくべきだということだ。
そのために、取り組むべきこととして、「教科書の精読」と「事象の丁寧な観察」を挙げられた。「教科書の精読」については、授業を効率よく、また、生徒の集中力を維持するために、プリント学習やプロジェクタを利用しての説明などが多くなり、まず教科書を丁寧に読む、ということが疎かになっているかもしれない。プリント学習で言うと、私自身が授業で生徒に説明していたのは、「単にプリントの穴埋めをするために作ったのではない。教科書の文章をどのように整理したらこのプリントになるのかを考えること。これはあくまでも私の脳内整理。自分の脳と相談してもっと良いまとめ方を考えなさい」ということ。出来上がったプリントを学習のスタートにすると、教科書は単なる参考資料になってしまい、読むことが疎かになる。また、「効率的」という言葉に甘えて、プロジェクタで一瞬で視界に入る情報だけで理解した気になってしまう恐れもある。「事象の丁寧な観察」については、自分の興味・関心にかかわらず、何事も正しく見て深く考えることが大切だと感じた。
梅嶋教授もおっしゃっていたが、やはり教科書はたくさん線を引いたり、たくさんメモしたりして読みこむ方が良いと。以前、「三色ボールペンで読む〇〇」という本が流行ったが、四色、五色と使い慣れるぐらい読みこむのもありかと思う。『論コミ』の経験を最大限に生かそう、東高生!
倍速で 見るのは動画 だけにせむ 教科書のみは 穴さへ開くべし