校長日記其の四百二十三~「ほめないでください」と言われても~
『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』が、今の若者の気持ちだと、著者の金沢大学、金間大介教授は分析する。今の若者は、YouTubeやTikTokに動画をアップして、無数の「いいね」を欲しがっているとばかり思っていたが、実はリアルに皆の前でほめられるのには堪えられないらしい。先日、終業式で表彰を行うと聞き、この話を思い出した。オリンピックをはじめ、様々な大会でトップをめざし、表彰台に上がることをめざして頑張っている選手たちがいる中で、「ほめられること」が『圧』『プレッシャー』になるとは不思議なことだが、一方で、目の前の生徒たちを見ていると、妙に納得する部分もある。
金間教授の話では、今の若者には「いい子」が多く、「まじめで素直」「受け答えがしっかりしている」「前向き」だが、「リアクションが少ない」「意見を言わない」「何か物足りない」という。考えてみれば、今の高校生にも当てはまる節がある。東高校の生徒は、非常にまじめで、しっかり勉強しているし、他者を尊重し協力し合うし、何事にも前向きに取り組む、素晴らしい面が多々あるが、その一方で、リアクションが少ないし、周りの様子を見ながら自ら手を挙げて意見を言うことも実は望んでいる。やはり、共通点が多いと実感。
常日頃から、講話を通じて「Challengeせよ。さすればConnectし、Changeする。『3C』だ。」と偉そうに話しているが、そもそも若者がほめられるのが嫌だとなれば、伝える話も変わってくる。では、何をどう伝えれば?との問いに、金間教授は、「チャレンジしない大人が若者に期待しても心に響かない。大人が行動し、『自分はこれをやりたい。だから手伝ってくれないか。』と若者を巻き込むことです。」と述べる。そして、「現役として行動する大人の姿には尊敬する」と。
考えてみれば、自分が少年の頃(確かにあったはず...)、口先だけの大人の言うことなど聞く気にならなかったなと振り返る。チャレンジする大人は大変だが、輝いている。少しでもそういう背中を見せなければ...と、自分のことは棚に上げて書いておく。
impossible 点をつければ I'm possible
頑張れ、大人!挑戦、大人!