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校長日記其の四百二十五~学力向上やいかに~

 全国学力テスト(全国の小学6年生・中学3年生対象)の結果が発表された。

 ある分析によると、「小学国語では、文章の構成が把握できていない」「小学算数では、データの収集、活用が不得意。ジュースの量が半分になった時、果汁の割合も半分になると答えてしまう(正解は「変わらない」)」「小学理科では、基礎的な問題の正答率は高いが、知識を日常生活に結びつけるのが苦手」などが指摘されている。また、「中学国語では、情報の扱い方に関する問題で、引用する部分をかぎかっこでくくるという条件を満たしていない回答が多かった」「中学数学では、確率問題の正答率は向上したが、日常的な課題を数学的に説明する点に引き続き課題が見られた」「中学理科では、反発し合う二つの磁石の距離が、加える力でどう変わるかを考える問題や、飛行機雲が空に残る時間について、地上での観測データを基に検証することが正しいかを判断する問題の正答率がともに低かった」等と分析もされている。

 問題も示さずに述べるのも気が引ける(お手数ですが、各自でご確認ください)が、それら一つ一つの分析を丁寧に押さえていくと、面白いことに、全体としての「新聞を読む頻度や自宅にある本の冊数が多いほど平均正答率が高い」という結果と密接な関係が見えてくる。

 例えば、中学国語での「引用部分をかぎかっこでくくる」というのは、新聞や本を読んでいれば、たくさんそういう機会に触れるし、小学算数の「果汁の『割合』にしても、実は算数のデータの理解ではなく、単に『量』と『割合』という言葉の勘違いであるという気がする。また、理科の記述問題が苦手な点については、答えは何となくわかっていても、実は意外と解答文の構成がおかしかったり、助詞の誤りであったりする。だから、一問一答や基礎問題には答えられるが、文章で説明できないというのは、人に正確にわかりやすく伝えるアウトプットが上手くできないということになる。要するに、その教科の内容が理解できていないというよりは、言葉や文章で上手く答えられていないというのが現実なのではないか。

 現在、教科ごとにさまざまな観点で分析を行っており、「算数」のこの分野を伸ばさなければ、とか、大阪は小6理科が全国最下位なので理科を伸ばさなければ、という話になる。それはある意味当然であり必要なのだが、これらの分析から、説明する能力を「学力」というなら、その向上のために最も重要なことは、新聞や本などの『文章を読むこと』なのである。

 言っておくが、だからといって、文章を『読ませる』のはいけない。あくまでも、文章を主体的に『読むこと』が大事である。ただ、この効果は、いかんせん時間がかかる。幼稚園や小学1年生の子どもさんには、100%の効果が望めるのでぜひどうぞ。ただ、今からでも遅くない。読まずより読め、東高生!

  読みかけの 言葉とシンクロ よくある話