校長日記其の四百六十四〜まちライブラリー〜
読書の話が続くが、最近、図書館並みの冊数を揃えているカフェも多い。単にコーヒーを飲んだり、パフェを食べたりする場所ではなく、いわゆる付加価値のある店が増えた。カフェでなくとも、地域住民が本を持ち寄って交流する「まちライブラリー」とも呼ばれる場所も各地で増えている。
中でも「みんとしょ(民営図書館)」という、本棚の一部を有料で希望者に貸し出し、各自が好きな本を置き、地域の方が自由に借りられるシステムもある。考えてみると、わざわざお金を出して、自分の好きな本を置き、無料で貸し出すというのは、その部分だけ見ると、奇特だと思われるかもしれないが、実はそこに人と人との触れ合うきっかけが生まれ、新しい人間関係が生まれる。
本棚のオーナーにすれば、自分の好みの本を通して、借りた方とそのジャンルや空気を共有できる。その感想を聞かせてもらう事によって、自分も気づかなかった新しい発見がある。それはSNSで「いいね」をもらう感覚と似ているかもしれないが、大きな違いは、顔が見える、直接触れ合えることである。
「みんとしょ」は、「本」をツールとしてであるが、何を通じてでも、コロナ禍で失われた人間関係を少しずつ取り戻せれば言うことはない。ふと、自宅の本棚を見渡した次第・・・。
「みんとしょ」の 棚の奥には 人が見ゆ