校長日記其の四百七十四~地方に目を向けてみる~
下の写真は、1年生の探究の時間に行った「OMOSHIRO学び(大学調べ)」で、1年生の廊下に張り出されている。「全国の国公立大学」について、自分たちで調べて進路の参考にしようという活動。皆、細かい部分まで一生懸命調べて、丁寧にまとめられている。特に高校1年生の視点で感じた「OMOSHIRO学び」が、実に面白い。これをきっかけに行きたい大学が見つかれば、なお良い。
そんなことを考えていた矢先、一人の熱い教員から大学受験に関する一冊の本を借りた。地方の個人塾の塾長の皆さんが、地方国公立大学をめざすことのメリット、合格の秘訣などを書いた本だが、東京・大阪などの都会と地方の格差を逆手にとった国公立大学合格への対策本である。
都会と地方の「格差」と書いたが、データによると、やはり都会は中高一貫校や進学校をめざす小中学生やその保護者が多く、地方ではそこまで受験熱は高くないようだ。実際にある年の共通テスト(900点満点)の平均点(全国平均566.9点)を都道府県別に比較すると、1位が東京都の649.1点、2位が奈良県の644.5点、3位が神奈川県の641.1点であり、4位から7位も千葉、京都、大阪、兵庫と続く。筆者の一人が住む青森県は36位(536.3点)である。もちろん共通テストの点数そのものが学力に直結するわけでなく、大学進学者の数や希望する大学の種類も大きく影響するのだが、一つのデータとして興味深い。
また、2010年から2019年の10年間の高等学校(国公立・私学含む)の東京大学合格者数の平均値上位20位には地方にあたる所としては鹿児島(13位)、福岡(16位)しかない。それだけ受験熱に差があるということになる。
我々の若い頃はさておき、ここ数年はコロナ禍で、地方の国公立大学に進学する生徒もめっきり減った。私は、地元の教育学部に進んだが、地方の国公立大学に進んで、新しい環境で下宿したり、少し方言の強い友人と交流を深めたりという経験も悪くないなと思っていた。生徒たちには、自分の今後の人生のために、広い視野で考え、少しでもヒントや刺激になるような進路を見つけてほしい。
さて、この本を通して、首尾一貫していた一言は「勉強は早く始めるべし!」である。巷では、「大逆転で合格」や「偏差値49から東大合格」「E判定に落ち込むな」などという魅力的な言葉があふれているが、これらはあくまでも特別な例であって、実際は早く勉強するのが一番の近道である。当たり前だが、奥が深い。進路実現に向けて、情報を上手くつかみつつ、早く始めよ、東高生!
地方にて 新発見が あるかもよ
あ、そうそう、この本には受験対策だけでなく、受験生の『親』としてのスタンスの話もあった。それについては、また来週...。