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校長日記其の四百九十三~新大学入試共通テスト~

 「シン・シティ」や「シン・ゴジラ」という映画があったが、「シン」には罪や過失という意味がある。2025年1月に実施される「新大学入試共通テスト」は、新学習指導要領の実施に伴う入試改革の一つだが、いまだ明確な対策が練られないという不安があるという点で、ある意味「シン・共通テスト」と思われている節もある。

 私も高校の校長として様々な情報を収集しているが、新科目「情報Ⅰ」の問題内容や、科目構成が変わった「国語」や「地理総合」「歴史総合」、そして「思考力や判断力を問う」「学習の課程を重視する」という大学入試センターの方針など、これまでの共通テストからどう変わるのか、注目しているところ。今年1月の共通テストでも、その兆しがみられたか、「数学Ⅰ」において、読解力が強く求められ、平均点が下がったこともある。

 そんな中、9日(水)に試作問題が公表された。(大学入試センターHP参照 

https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r7ikou/r7houkousei.html )

 国語の『大問A』では、一人の生徒が、気候変動を題材にレポートをまとめる設定になっており、資料として、文章や図やグラフが挙げられている。問題を解くには、それら複数の文章、図やグラフを的確に読み取り、結びつけることが必要になる。また、『大問B』では、日本語独特の言葉遣いに関するレポートを作成する言語活動が設定されている。これも同じく、文章や図、グラフなど複数の資料を結びつけて考える必要がある。

 共通することとしては、資料の一部に記載されている情報だけでは不十分で、複数の資料を「多角的」に捉えることが重要になる。そういう意味では、問題自体は冊子になっているので、そのページをあちこちめくりながら問題を解くことになる。となると、情報をインプットして、頭の中でメモしながら読むことになるため、整理する能力も必要になる。

 解答用紙は、これまでどおりマークシートのため、問題は「正しいか誤りか」を問う選択肢になっている。ぱっと見た目は簡単そうだが、情報を的確につかみ、多角的、論理的に整理できないと間違った選択をしてしまう。対策として心がけたいのは文章を短時間で「要約する」ことと、「情報の読み取りに主観を入れない」こと。図やグラフから読み取る際に主観をいれると理解を誤り、最初で躓くと下手をすると0点、ということもあり得る。他教科の動向も各教科担当が確認する。

 これは持論だが、学習指導要領が変わるから対策が変わるという考え方ではなく、本来「読む」ということや「学ぶ」ということについて、単にわかりやすく「学力=知識」と解釈されてきたことに一つの難があったと言われている(私たちが学んだ時代など特にそうだが、今の子どもたちにない力が身についたことも確か)。前回の学習指導要領改編をステップにして、より本当に「考える」ことの大切さを重視するようになったと理解している。そういう点では、新学習指導要領は、(言わずもがな、すでに大きく変わっているが、)日本で学ぶ子どもたちの資質自体を変えていく可能性がある...と、昭和男が少し背伸びした。将来活躍する東高生に夢を託したい。頑張れ、東高生!

  新新と 惑わされずに 地に足つける

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