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校長日記其の四百九十七~AI判定、是か非か?~

 近頃、報道番組で「次のニュースは、AIによる音声でお届けします」と一言あり、AI音声でニュースが伝えられる。私の耳の調子にもよるのだろうが、AIだと意識しなければ、人が読むのと大して変わらない。電話の自動音声とは、相当印象も違う。

 そんなことから、AIも日進月歩だなと思っていたら、一昨日20日に開幕したサッカーワールドカップで、いきなり「AIオフサイド判定補助システム」が活躍したという。開幕戦のカタール対エクアドル戦で、エクアドルの選手の右足が、カタールの選手のいわゆるオフサイドラインから、右足が出ていたらしく、映像を確認する審判がいても、肉眼では判別できないほどの微妙な差だという。今大会から導入されたこともあり、さすがはAIというところ。

 すでに野球やバレーボールなどでも、アウトセーフやインアウト、ファールか否かを映像で判別している状況だが、試合をストレスなく、公平に進める目的でいえば、十分達成できている。是か非かと言われれば、無論「是」である。

 ただ、昭和男のアナログ感覚で言えば、「判定ミスも、運も含めての結果」が、人間らしくて捨てがたいところもある。まじめな話、「運はわかるが、ミスはアカン」という向きが大半だろうし、私自身も様々な試合で、審判のとんでもない誤審を目にしたこともある。不利を受けた側にとっては、そのミスのおかげでそれまでの努力が水の泡に帰すことになるので、受け入れることはできない。

 そのことを考えると、やはりAIの正確さは、こと審判の判定においては必要である。が、例えば、野球における動きのある中でのアウトセーフよりも、ホームベースという少なくとも明確な左右のゾーンがあるストライク・ボールの方が、明らかに精度が高くなるはずなのに、現在も人が判定しているところに何かしら矛盾を感じるのは私だけか。お叱りを覚悟で言うと、サッカーでの「神の手」や高校野球のがばい旋風など、会場の異様な雰囲気の中で、少しずれて見える人の目があってこそのドラマであるという気もするのである。

 翻って、人の目とAIを比較すれば、AIの正確さは比べるべくもなく、ケチをつけるのは野暮でしかない。今回のワールドカップのAI判定のように、今後はいろんなサプライズが生まれ、質の違う感動が生まれることに期待する。

  AIの 目と勝負する 私の目