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校長日記其の六百七〜学校、百様〜

 昨日、今日の二日間、埼玉県大宮市の大宮ソニックシティホールにて開催された「全国高等学校校長協会総会・研究協議会」に参加した。

 研究協議会では、3ブロックから、青森県、大阪府、大分県の高校が、家庭部会からは茨城県の高校の校長先生が壇上で発表された。青森県立名久井農業高校の農業教育を中心とした教育活動は、地域との協働により信頼関係を築かれ、地元で高校生を育てるという空気を感じた。市内のある東高校とは、全く環境が異なるが、そこでしかできない特色ある教育という点でいい刺激になった。

 大分県立国東高校は、校名に「東」がついているので、親近感をもった。ただ、ご存知かと思うが「くにひがし」ではなく「くにさき」と読む。『鍛え抜く、探る、挑む』との校訓と『一歩先 KUNISAKI そのさき』をキャッチフレーズにしている。校長先生のユニークな個性も相まって、何事にも意欲的に取り組む学校と見た。何と、令和6年度には、普通科内に、宇宙産業を担う人材育成を目的とする『SPACEコース(仮称)』を設置するらしい。どんなカリキュラムかは想像もつかないが、今後の動向に注目したい。

 家庭科部会の代表の茨城県立竜ヶ崎第二高校は、「人間文化科」を設置し、調理や被覆に加えて、伝統工芸や介護実習まで、さすが「人間文化」だけに非常に教育の幅が広い。ローカルでこそできることも多々あると、あらためて視野が広くなった気がする。

 我が大阪府からは、水都国際中高が発表。開校5年目の未完成の学校だが、この5年間の中身は濃い。校則もなく、生徒指導部もない。開校当時は、やはりどこまで行くかというほどの"見た目"問題。地域からも大変な学校ができたと白い目で見られたとのこと。しかし、見られる側の生徒もその視線を感じて、なぜ"見た目"で判断されるのか、どうすれば信頼されるのかと生徒自治会で一生懸命考えた。結論は、「行動で示すこと」。清掃ボランティアや地域のお祭りに参加し、自分たちはこんな高校生だと自らが動くことで、地域の方々に理解していただこうと、できる限りのことをやりだしたという。水都国際の歴史は始まったばかり、彼ら彼女らの行動が吉と出るか、また、卒業後の進路はいかに。新しい学校には、夢も期待も不安もある。実に面白い。

 話のついでに、私の理想も「生活指導不要論」。生徒指導主事一人いれば、あとは、教職員皆で指導すればよい。服装や頭髪など、「生活指導部」という看板がなくても、普通の大人のやること。生徒会も自治会と称せば、生徒の仕事。大人と高校生で話をすれば済む。(実際に、例えばA高校には、生徒指導部がない。)そうなれば、働き方改革もちょっとは進む・・と『理想』はついつい膨らむが、昭和の先入観が邪魔をする。ただ、すでに大切な何かを失いつつある今の教育なら、少々先入観を取っ払った教育をやっても行けそうな気もするが、やるには目算で3年は必要。勢いがあって、フットワークの軽い後進に期待。いざ、令和の先の教育へ。東高校100周年!

  できないと 思ってやると やっぱできない

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