校長日記其の六百七十九~生徒のキモチに~
本日は、1限から5限まで「授業見学」。校長の仕事でもあり、教員の授業力向上のためでもある。本校の授業を行う教員は55名。非常勤講師も合わせると68名となる。すべてぶっ続けで見学しても、2週間以上かかる。事務仕事や会議、出張などで毎週半分の時間は必要なので、感覚的に毎時間見学してもひと月ほどかかる。
名は「見学」という仕事であるが、実際、各教室の欠席生徒の席に座り、教材を片手に担当教員の授業を受けていると、生徒のキモチになり楽しく勉強することになる。これも大事で、今日は1~4限まで受けるとお腹が減って仕方なかった。食欲旺盛な生徒達ならなおさらお腹が減るだろうなと実感した。当然、昼休みに昼食を摂った後の5限は睡魔が襲う。何とか仕事を全うしたが、その5限においてもしっかり先生の話を聞いて一生懸命取り組んでいる姿を見て、あらためて東高生の集中力はさすがだなと体感した。
ということで、しばらく授業見学が続く。本校のここ数年の「授業」に関する目標は、「『わかる授業』から『生徒が主体的に考える授業』をめざした授業改善への取組」。話はしっかり聞いて理解してはいるが、先生の発問に対しての反応が薄い生徒もいる。答える声も小さくては、教室に活気も出ない。教科担当の先生も、プロジェクタで視覚的に関心を持たせたり、発問を増やしたり。また、ペアワークを取り入れたり、考えをまとめさせたり、発表させたりとあの手この手で生徒の主体性を引き出す工夫をしている。今日は、いつもうまく行くはずのタブレット操作が、なぜかエラーが出てしまう。「授業見学のこんな時に限って...」と困ったのも束の間、該当のページを写真に撮ってスクリーンに映す。こんなハプニングへの対応もICTを使いこなせる若手教員らしいところ。ハプニングを笑いに変えて、コロナ禍の頃は特に薄かった生徒の反応も徐々に変わってきた。明るい笑顔もそうだが、嬉しそうに答える。間違いを恐れる気持ちもどこかに行けばいいのに。
昨今、そのいわゆる「心理的安全性」の確保が求められているが、やはり間違ってもいいんだ、周りと一緒に成長できるという気持ちになれるまでは時間がかかる。お互いで話すことや一緒に行動すること、なにか共有する機会を増やすことで、何か穏やかで安心できる環境にすること。自分を認めることで他者を認めることもできるし、また、その逆もある。静かなだけではない、安心を共有できる教室にしよう、東高生!
あ、しもた! どうぞ笑って おくんなはれ