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校長日記其の七百二〜読書のすすめ〜

 本日から11月9日までの2週間は「第77回読書週間」。本校の100周年には届かないが、77回は結構長い。ネット調べで申し訳ないが、終戦まもない1947年(昭和22)年、まだ戦火の傷痕が残っているなかで「読書の力によって、平和な文化国家を作ろう」という決意のもと、出版社・取次会社・書店と公共図書館、そして新聞・放送のマスコミ機関も加わって、11月17日から第1回『読書週間』が開催され、そのときの反響がすばらしかったので、翌年の第2回からは期間も10月27日~11月9日(文化の日を中心にした2週間)と定められ、全国に広がったらしい。

 誰の『決意』かは知らぬが、国語教師の端くれとして大いに賛同する。ボタン一つクリックすれば無限のデータや動画が現れる現代と比べると、重い一冊の本を片手に一枚一枚ページをめくる作業の何と面倒臭いことか。しかし、「読書」には、その面倒な作業をワクワクする瞬間に変える魔法がある。また、その魔法たるゆえんは、絵画や写真、彫刻はもとより、作り方によっては無限の可能性を感じさせる映像芸術と比較しても、作家の想像力とペン一本さえあれば、あらゆる世界を作り出せるところにある。

 さらに、実際は一つの作品が一つの世界、一つのストーリーのみを生み出すのではなく、読む者の好き嫌いや価値観、知識や経験値等によって微妙に異なる世界、ストーリーになる。だからこそ、読後の感想が異なり、その本に対する評価も異なるのだ。

 現在、創立100周年を記念するとともに、本を読まない今の高校生の想像力に火をつけることを目的とし、本校の教職員が薦める『東高校の100冊』を編集してくれている。ようやく1冊の"本"になろうとしているということであるが、実に楽しみである。本を読むきっかけは人ぞれぞれだが、本日の新聞記事によると、◯◯ゾンなどの通販全盛期であるにも関わらず、本を購入するのは「書店」が最も多く73%で、通販での購入は23%に過ぎないという。概ねレビューの★も気にはなるが、やはり実際に手にとって直接買う方が多いようだ。

 また、同記事では、「近くに書店があってほしい」という人は75%で、「マニアックな本が揃っていたり、あらゆる本の種類が揃っている書店の方が好まれる、とある。小さな書店が店を畳むことは多いが、レアな本やこだわりの本などを置いている、雑貨と一緒、カフェを併設など、本好きの方はその本屋にしかない付加価値を求めている。

 また、本好きには特に「読書週間」を意識せずとも、本は常にカバンの中にある。以前の勤務校では、国語教員が集まると仕事以外の場でもカバンの中に入っている本を見せ合うという『抜き打ち検本』が流行っていた。皆本好きなので、それだけで充実した一席となる。就職試験で「愛読書」を問うのはNGだが、共通する趣味の話題としては相当深い話ができる。東高生には、「読書週間」を機に、まもなく完成する『東高校の100冊』を片手に図書館を探索し、ぜひ「読書の秋」を楽しんでもらいたい。本を読もう、東高生!

  小説の ワンフレーズが ふとよぎる しばしの間 時を戻さん