校長日記其の七百四~見ているようで?~
本日6・7限は、1年生対象の「レクチャー医学編」。大阪大学 放射線科学基盤機構 医学系研究科未来医療イメージングセンターの中島裕夫先生に、放射線に関する正しい知識を得ること、そして科学的な根拠により正しく評価することの大切さについて、ご講演いただいた。
理数科だけでなく、普通科・英語科も含めた1年生全員が対象のため、アイスブレークとして、毎年事前に生徒を対象に「怖いもの調査」を実施して、その結果を示していただく。5~6年前から変わらないのは、上位にテロリズム、ピストル、麻薬が並んでいるということ。中島先生曰く、「怖いもの」というのは、命に関わること、死を意識するもののはずだという。そういう点で、お化けというのは、確かに見たり会ったりしたら怖いが、直接死に関わるという怖さではないという。また、放射線を浴びた場合に何が一番怖いかという問いに対して「脱毛」が最上位に来るが、それは小説や映画などで象徴的に映されるイメージに過ぎず、よほどの量の放射線を浴びないと脱毛しないから安心するようにとも話された。
また、鶏の絵を描いてください、という問いに対する答え(絵)の例をいくつか見ると、4本足の鶏がある。先生によると、高校生だけでなく、小学生から高齢者にいたるまで4%程度の人がそう描くという。さらに、アリの絵やクモの絵を描かせても、足の数や胸・腹の数の誤りが見られるという。何が言いたいかというと、「モノをしっかりと正しく見る、認識することが大切だ」ということである。例えば、授業で先生が「今日は時間がないので教科書の〇ページの図をあとで見ておいてください」と指示しても、あとからしっかり見なければ、全く記憶にないか、あるいは中途半端なイメージでしか覚えないので、正しく見るようにしてください、と話される。
また、アリやクモを絵で伝えるのは難しいが、言葉や文字で「蟻」「蜘蛛」と伝えると正しく伝わる。この場合、絵が「暗黙知」で、言葉や文字を「形式知」であるという。「暗黙知」は、個人の経験や勘によるもので、相手に上手く説明できないもので、例えば、自自転車の乗り方を説明せよと言われても、感覚的に身についているので上手く説明できないようなもの。「形式知」は、家電の説明書のように、誰にでもわかるものである。そして、いわゆる「形式知」が多くなると、いろいろなことが「楽になる」とも。
何事も、よく見て正しく理解する。基本であり、大切なことである。意識しよう、東高生!
あれやあれ わかっているのは あなただけ