校長日記其の七百二十七~真実やいかに?~
昨日、OECDによる「国際学習到達度調査(PISA)」(2022年度実施)の結果が公表され、日本は「読解力」が前回調査の15位から大幅アップの3位、「科学的応用力」も5位から2位に、「数学的応用力」も6位から5位に上がったとのこと。
この結果を受けてか、ある新聞に「思考力重視結実」と小見出しにあった。が、私はそれを見て「え、ほんまに?」と思った。以前から、読書量が減った、読解力が落ちたと嘆いていたので、学校の授業での思考力向上がそれほど効果があるのか、それもこんなに早くに?と驚いた。
が、やはり見出しに騙されてはいけない。記事をよく読むと、日本が順位を上げた理由は、コロナ禍における休校期間の短さが大きいという。コロナ禍の休校期間について「3ヶ月以上休校した」と答えた生徒が、OECD平均50.3%と比べて、15.5%と極端に少なかったということだ。他国においても、休校期間が比較的短い国が順位を上げたようである。
2020年度入学生(今年3月卒業)は4月の入学時から休校で、同年6月にようやく学校生活が始まった。それでも2ヶ月、その間も分散登校やオンライン、課題配信など、各学校で様々な工夫をしていたことも順位を上げた理由と分析されている。要は「継続は力なり」ということか。
一方で、順位はあくまでも相対的なもの。例えば、読解力の得点は、2012年の得点には達しておらず、やはり「思考力結実」とは言えない。
とはいえ、ある識者は「探究学習」の効果は現れている、という。PISAとは別の文科省調査ではあるが、課題を設定し、仮説を立てて自分で考える授業を行っている学校の得点率が高いとの結果もある。「課題研究」から「総合的な学習の時間」、そして「総合的な探究の時間」と名前は変わってきたが、要は「自分で考える力」をつけること。社会に出て、すぐ人に聞いて、あぁそうか、で終わることに喜びも感動もない。自分で考え抜いて、どうしてもわからなければ人に聞く。自分の考えていたことが正解だった時の喜び、惜しいところまで行っていたのに、という悔しさは、また次の課題に向かう意欲に繋がると思う。
...と書きながら、自分が推理小説が好きな理由がわかった。
PISAと聞き 10回クイズを 連想す