校長日記其の七百八十五〜こんなことある〜?という話〜
本日も入試業務のため、生徒は登校禁止。ということで、本日も余談でご勘弁を。
通勤中や一人の時はいつも、ワイヤレスイヤホンで音楽を聞きながら歩いている。ワイヤレスイヤホンを初めて使用した時は、その便利さに感動したし、現在は約8割の方がコード付きではなく、ワイヤレスを使用しているとのことだが、あえて使用しない人が相当数いるのは、ついつい落としてしまったり、なくしてしまったりするからだろう。かくいう私もすでに4つめのワイヤレス。片方を落としても、もう片方があれば事足りるので、しばらくはそうするが、最近は廉価な物も増えたので間を置かず購入する。
そんな経験をふまえ、私はイヤホンを耳から外す時は、線路などに落とさないように、必ず電車の扉が開く前にはずすか、つけたまま降りる。道中で外す時も、特に側溝のないことを確認し、万が一落としても大丈夫な場所で外す。
私が常にそう意識しているということをわかっていただいたうえで、昨日の夜のこと。
そろそろ自宅に着こうかというところで、いつも通り注意してイヤホンを外したが、なぜか左耳にイヤホンのゴムの部分が残ってしまった。すぐに取ろうとしたが、(いやいや、イヤホン自体は無事に外せたが、ここで不意にゴムを落として側溝に落としてしまっては日頃の努力が水の泡だ)と思い、車のない道の真ん中まで移動して外そうとした。が、やはり指が変にゴムに引っかかり、ゴムがポンっと抜けて下に落ちた。(やっぱり落ちたか、しかし、ここで日頃の慎重さが生きる、止まった時にゆっくり拾えば大丈夫だ...)と勝ち誇り、余裕を持ってゴムの動きが止まるのを待った。
が、こちらの気持ちを知ってか知らずか、ゴムに意志があるかの如くコロコロと転がりだす。(あれ、意外と転ぶな)とは思ったが、側溝まではまだ距離がある。一歩二歩とゴムに近づくが、意外にもゴムは止まらない。それどころか少し坂になっているため、私から逃げるようにスピードを上げてきた。(ちょ...ちょっと待ちなさい)と少し焦ったが、また平坦な場所になり、ゴムのスピードが緩んだので、(よしよし、これで大丈夫)と手を出したが、見ると、ゴムの行く少し先に側溝の小さな穴がある。少し焦ったが、(まぁ、あの小さな穴に入ったら、私の日頃の行いがよっぽど悪いということだ)と、半ば祈るように見ていると、ゴムはスーッと優しく一直線に穴に向かっていく。そして、最後はゴルフのパットのように、半円を描いて穴にスッと吸い込まれた。そのスローモーションのようなシーンに、私は大切なゴムを一つ失ったことに呆然としつつも、何か映画を見たような感動に包まれてしまった。
万全を期したつもりが...。こんなことある〜?という話。あしからず...。
冬銀河 ゴムの前には ブラックホール